[書評] 未来の食卓を変える7人 ―美味しくて安全な食べものづくりに挑戦しつづける農家たち

本書は、自然農や酪農を行っている農家さん達を紹介した本です。みなさん強い信念と誇りをを持ってご自身のライフワークに取り組んでいらっしゃる姿が印象的でした。

以下、本書で紹介されていた7組の素敵な農家さん達を記載したいと思います。

清澄の里 粟(奈良県)
三浦雅之さん、陽子さんご夫妻の農場で栽培している伝統野菜が食べられるレストランです。2012年度のミシュランで一つ星を獲得し、1ヶ月先まで予約がいっぱいだとか。農を中心にして地域のコミュニティを活性化させ、広義な意味での「福祉」を目指していらっしゃる姿に共感を持ちました。

ビオファームまつき(静岡県富士宮市)
恵比寿にあった三ツ星フレンチレストラン「タイユヴァン・ロブション」の元第一給仕長である松本一浩さんが立ち上げた無農薬農園です。「農業ビジネスの成功例をつくり、若者の農業参加を後押ししたい」という、志がとても素敵だと思いました。

あっぷるみんとハーブ農園(熊本県阿蘇郡)
梅木正一さんが栽培されている無農薬米「きよら米」は、毎年クチコミでファンが増え続けているそうです。自家農園で取れた野菜やお米を使用したレストラン「風のもり」も経営されており、アレルギーを持っている子ども用に5大食品(大豆・小麦・牛乳・卵・そば)を使用しないお子様ランチもいただけるようです。

軽井沢のオーガニック農園オルトアサマ(長野県軽井沢市)
定年退職後、かねてからの夢であった農業を軽井沢で始められた金田正一さん。F1種は一切使わず、ヨーロッパの在来種のみを栽培していらっしゃいます。限界まで寒さに耐えた野菜達は強い生命力をもつのだそうです。スパルタ農法で育てられたお野菜をいつか食べてみたいものです。

共同学舎新得農場(北海道上川郡)
北海道にある共同学舎新得農場は酪農を行う農場でありながら、引きこもりや鬱など現代社会にとけこめない人たちを受け入れ、共同作業を行っています。白カビではなく酵母を使って熟成させたなチーズ「さくら」は世界的に有名な章を多数受賞しています。

ナチュラルハーモニー(東京都世田谷区)
本ブログでも著書を紹介したことがある河名秀郎さんが経営される自然食品店舗、レストランです。ナチュラルハーモニーは天然菌による発酵食品にも力を入れており、福井県のマルカワ味噌製造による「蔵の郷」を専門販売しています。

⑦ 想いやりファーム(北海道河西郡)
日本で唯一「生乳」を出荷している牧場です。私たちが普段飲んでいる牛乳は生乳を殺菌したものですが、想いやりファームの生乳は雑菌がほとんどないので殺菌の必要がないのだそうです。機械で乳を搾取するのではなく、牛が乳を搾って欲しいときに手で絞ってあげる、まさに牛への想いやりに溢れています。

これらの食品は、普段スーパーで売られている食品と比べると価格は高いです。けれども、自然の力を最大限にいかし、人の手で大切に育てられたことを考えると、その価格にも納得せざるをえません。ゆくゆくは各農場を訪れて、その土地の恵みを実際に味わってみたいものです。

未来の食卓を変える7人 ―美味しくて安全な食べものづくりに挑戦しつづける農家たち
桜 鱒太郎 (著)書肆侃侃房 (2012/5/1)

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